コタンの会・アイヌ遺骨返還請求訴訟 第1回口頭弁論

2017年12月1日13:15ー

アイヌ遺骨返還請求訴訟 札幌地方裁判所 平成29(ワ)1989/平成29(行ウ)22

原告 コタンの会

被告 北海道大学/新ひだか町

 

意見陳述書 葛野次雄

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葛野次雄(コタンの会)「意見陳述書」2017年12月1日
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私は、葛野辰次郎エカシの二男として静内町に生まれました。エカシというのはアイヌの長老という意味で尊敬をこめた呼び方です。

 

私は新ひだかアイヌ協会の会員であり、コタンの会の副代表もしています。

 

私は、昨年の浦河町杵臼に返還された12体に始まり、紋別に返還された4体の再埋葬のカムイノミやイチャルパの祭司として遺骨の返還に携わり、また浦幌の63体の遺骨返還の際のカムイノミやイチャルパの副祭司として、先祖の方々に遺骨をとりもどしたことを報告してきました。

 

しかし、いまもなお、何十年もの間、北大医学部アイヌ納骨堂という冷たいところに墓地から持ち出されたままの多数の遺骨があります。

 

今回は、静内町から掘り出された163体と浦河町東幌別から掘り出された2体の遺骨を取り戻したことを先祖に報告したいと強く望んでいます。

 

日本政府や北海道アイヌ協会が言っている「アイヌの尊厳ある慰霊」は、白老町に建設中の慰霊施設に大量の遺骨を集約するという形ではなく、それぞれ故郷の地に再埋葬してこそ可能だと思っています。

 

アイヌの考えでは、人は土から生まれ、土に戻る、と私の父はいつも語っておりました。

 

なぜ土から人間ができるんだ? 疑問があろうかと思います。

 

土とはすべての自然界の営みをさしています。アイヌの祭司は、太陽や星々のほうまで御神酒(おみき)をあげ、祈りの言葉を捧げます。

 

この自然界のすべての神様に御神酒をあげ、「何百年何千年の間、静かに、傷つけないように使わせていただきます」「これからもそうします」ということで祈りの言葉をあげております。

 

わたしたちの生命は、母なる大地から生まれて、母なる大地に還る。われわれの肉体は土に帰す。

 

アイヌは昔から、そういう思想をもって暮らしてきた、と父は言っていました。私の家系はたどれるだけでも私の子どもで9代目になります。家系図も残っていますが、古くからそういうことを語っております。

 

政府が2020年までに開設する予定という白老の慰霊施設に、全国の大学などに留め置かれているアイヌ遺骨や副葬品を持っていくといわれています。

 

なんでこれがアイヌの尊厳ある慰霊といえるのか。先祖方が、「人は土から生まれて、土に帰る」と力強く言っていたにもかかわらず、なぜ、白老の「慰霊施設」に行って、大学や博物館と同じように保管され続けることになるのか、私は全く理解できないし、亡くなったわれわれの先祖の人たちがどう思うか、ということを深く考えなければならないと思うのです。

 

遺骨を焼いて供養塔を作る、という話も同じです。このような考え方はアイヌではない、和人の考え方です。

 

私は、去年から今年にかけて実現した遺骨返還にあたり、何十体かの再埋葬・慰霊儀式をやらさせていただきましたが、今回の静内の多くの遺体、遺骨に対しても、早く帰ってきて、その地において、静かに休んで欲しいという思いでございます。

 

 

多少長くなって申し訳ありません。ありがとうございました。イヤイライケレ。


次回口頭弁論は2018年1月26日(金曜)11:30〜、札幌地方裁判所701号室で開かれます。傍聴可能です。